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『障害のある社会をデザインで変える』多様なコミュニケーションをデザインで促進する方山社長 

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今回インタビューした方は、株式会社方角の代表取締役社長、方山れいこさんです!

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【方山 れいこ】

多摩美術大学で建築を学んだのち、東京芸術大学大学院にてメディア映像を研究。2018年デザイン制作会社に入社し、アートディレクター、UI/UXデザイナーとして活動。2020年に独立し、フリーランスとして活動。2021年株式会社方角設立。

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今日はデザインの力で障害のある社会を変えるべく様々な取り組みに挑む方山社長にインタビューしました。 

まず初めに、「方角」という名前について、ユニークな名前だと感じましたが、何か由来はあるのでしょうか。 

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私、方山(かたやま)というのですが、カタという漢字が方角の「方」なんですね。でもいろいろな人に「片山」と間違われるんですよ。そこで会社名に「方」っていう漢字いれたら、間違えられることが減るんじゃないかなってことで、縁起のよさそうな「方角」という名前にしました。でもあまり変わらなかったです(笑)。結局間違われるんですよね。 

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そうだったんですね!現在、デザインの事業をされているということですが、もともと絵やデザインが得意だったのでしょうか。

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人より得意だったかもしれませんが、それを仕事にしようとか、そういうことは思ったことなかったですね。 

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では、どのようなきっかけでデザインのお仕事をしようと思われたのでしょうか。 

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大学時代に深夜の音楽番組を見ていたんですが、歌唱する際の舞台セットがすごく綺麗だったんです。それを見て、これを作りたいって思いました。当時はスマホが無かったので、なんとか調べて、美術大学に行くとそういう仕事に就けるということが分かったので、美術大学に進んで、デザインの勉強をしたという感じですね。

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その舞台セットに一目惚れしたのですね!それから実際に美術大学に入る行動力もすごいですね。 

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ありがとうございます。それまで自分が何をしたいとか、ほとんど考えたことがなくて、どうしていった方がいいんだろうってずっと思っていたので、やっと自分のやりたいことが見つかったって感じでした。 

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美術大学では、どのような学生時代を過ごされたのでしょうか。

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大学内で何かを作るというよりかは、大学の外に出て、中小企業やお店の広告を作ってお金をもらったりしていましたね。その時に自分の技術を切り売りしてお金を稼ぐということにすごく興味を持ちました。とても楽しかったですね。 

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その頃からすでに外部の方とデザインを通じた活動されていたのですね。デザイン以外にはどのようなことをされていましたか? 

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大学に入ってからバンドを始めて、3年間くらいやっていました。それも大学のサークルとかじゃなくて、大学外のメンバーと活動して、渋谷でライブとかしていましたね。 

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かっこいいですね!もともとバンドをやりたいなと思われていたんですか?

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そうですね、美術大学を卒業した先輩で、社会人とバンドを掛け持ちしている方が何人かいて、自分もそんな感じになりたいなって思っていた時期があったので、並列してやっていきたいなと思っていましたね。でも大学院に進学したら忙しくなっちゃって、バンドは一区切りしました。 

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そうだったのですね。大学院に進学されたときには、もう起業は意識してたのですか? 

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ちゃんとは意識していなかったですね。ただ、私の家系的に、父も祖父もみんな事業をしている家族だったので、自然と自分もそうなるんだろうなって漠然とした感覚はありました。でも新卒ですぐ起業しようとかは考えられなくて、結局は会社に属すことになりました。 

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大学院を卒業された際には、デザイン系の一般企業に就職されたのですね。 

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そうですね。そこで2年半働いて、その後半年間フリーランスをして、起業しました。 

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起業しようと思ったきっかけは何かあるのでしょうか。

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私だけかもしれませんが、女性のフリーランスって、軽く見られがちなんです。家事の合間にお小遣い稼ぎでやっていると思われていたんですかね。学生でもできるような仕事が来ることもありました。だから社長っていう肩書が欲しかったんです。あまり舐めるなよという(笑)。

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そのような経験があったのですね。起業してよかったなって思うことはありますか? 

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フリーランスの時は、その企業の担当者の方と仕事をしている意識が強かったんですが、会社になってからは、対法人で仕事をしている意識が強くなりました。そのおかげで、フリーランスの時より大きな仕事もいただけるようになりましたね。 

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あとは、従業員を雇って一緒に働くのは楽しいですね。フリーランスの時は、一人っきりで、誰にも頼れなかったんですが、今では従業員と一緒に迷ったり、支えあったりして、ありがたい存在だなって思っています。 

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いい仲間に恵まれているんですね!どういった方と一緒に働きたいって思いますか? 

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「いいやつ」と働きたいですね!やっぱり仕事がいくらできても、性格の悪い人とは一緒に働きたくないですし。コミュニケーションの取れない状態って、会社としてすごい損失だと思うんですね。他人を思いやれる人と働きたいって思います。 

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あとは、コミュニケーション能力ですね。デザインを受注する会社なので、お客さんに、デザインのどこを見てほしいのか、いつまでにどのようなことをしてほしいのか、そういったことがちゃんと説明できる人がいいですね。 

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なるほど!そうなんですね。ホームページを拝見したところ、聴覚障害者向けのデザイン事業がありましたが、始めようと思ったきっかけなどはありますか? 

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富士通さんとのコラボレーションで、「エキマトペ」という、駅案内を視覚化するデバイスを開発したんです。これがSNSですごい勢いで拡散されて、たくさんの反響が届いたんですよね。その時に、期待されているのかなって使命感を抱いて。それがきっかけで、この事業を始めました。 

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事業を始めてよかったなって思うことはありますか。 

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耳の聞こえない方との出会いは大きかったですね。その当時は、会社を立ち上げたものの、自分のデザインで何かをしたいとか、人生で何かを成し遂げたいとかいう思いがそれほどなくて。でも耳の聞こえづらい方と出会って、この業界にデザインで貢献したいって思えるようになったんです。なので、起業して、この事業を始めてよかったなって思いますね。 

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では、これからも聴覚障害者の方の支援を続けていくんですね!

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そうですね。これからは、「グラツナ」という聴覚障害者の方向けの求人サイトを作って、支援していきたいって思っています。他には、企業さんに向けて、聴覚障害者の雇用についての研修をしたり、コンサルに入ったりしていきたいなって考えていますね。デザインの枠にとらわれず、社会問題を解決していくような会社にしていきたいです。 

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聴覚障害者の方との出会いで、事業の方向が変わっているんですね。では、今後、こういう社会を作っていきたいという思いはありますか? 

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聴覚障害者の方と出会うまで、福祉にちゃんとお金が使われているもんだって思いこんでいたんですね。でも実際、当事者にとってはまだまだで、必要なところに適切に使われていなかったり、当事者の声を聞けていなかったりしている面がたくさんあるんです。そういうところを是正できる世の中にしていきたいですね。そのためにまずは、今の事業を成長させて、お金を生み出せる仕組みを作っていきたいですね。 

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では逆に失敗したなってことはありましたか? 

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それはたくさんありますね。起業したてのときに、仕事が来るかすごく心配でしたので、同じ文章でたくさんメールを送っていたんです。そしたら、とある社長さんが私とお話したいって言ってくださって。受注されるものだと思っていたので、ウキウキして商談しようとしたんですが、その方はずっと黙っていらっしゃって。 

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何か怒らせるようなことしたかなって思いながらプレゼンを一通りさせてもらいました。そうしたら開口一番に「あなた全員に同じ説明しているでしょ。」って言われたんです。「あなたから来たメールも、僕はこれを言うためにあえて返信したけど、この誰にでも当てはまるテンプレートじゃ誰にも伝わらないと思う。誰の心も掴むことできないよ。」って言われて。本当にその通りで何も言えなくて、ちょっと考え込んだんですね。数日後に、感謝のメールを送ったら、「ご縁っていうのは、偶然が届けてくれるものじゃなくて、こちらが準備して初めて来るものですから」って言ってくださって、本当に気を付けようって思いました。 

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それからは、多くの人が当てはまるような言葉じゃなくて、気遣いのある営業をしていかないといけないなって思うようになりました。やっぱり人と人の関わりなので、相手に届けるっていうことを大切にしようって思えた良い教訓でしたね。

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すばらしい出会いと教訓ですね。 

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そうですね。その方がおっしゃった通りで、これまでの仕事で、偶然がもたらしたものってほとんどないんですよ。必ず「誰か」が繋がっていて、その方が仕事を持ってきてくださっているんですよね。 

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では最後に、学生へ向けて、学生時代にやっておいた方がいいことなどはありますでしょうか。 

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私は、学生時代に、無駄な経験をたくさん作ることが大事だと思っています。私がやっていたバンドも、親からは無駄だから早く辞めなさいって言われていましたが、そのバンド時代の友人がお仕事をくれたりすることもありますし、私の成功体験で、無駄なことから出発してることって多くあるんです。 

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今の世代って、私が学生時代の時より、効率主義で、こうした方が人生うまくいくとか、そういうことを考えがちなんじゃないかなって思うんです。でも、無駄かもしれないことにも果敢に挑戦することで、新たにそれが花開く瞬間って必ずあると思うので、そういう経験をしてほしいですね。 

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方山社長が学生時代にしておけばよかったなって思うことはありますか?

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私の場合はやっぱり、留学をしておけばよかったなって思います。私は大学院生の時にフランスに2か月くらい滞在していましたが、留学とかじゃなくて、ただ放浪していたんです。でもあの頃の経験が今でも強く心に残ってて、こういう経験を大学時代にたくさんしておけたらなって思ったんです。社会人になる一歩手前でそれに気づいたので、もっと早く気づいて、留学に行っていればなって思いましたね。

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方山社長の思う、留学の良さって何でしょうか? 

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語学の勉強もそうですが、海外で生活すること自体が、先ほどの「無駄な経験」につながると思うんです。長いこと海外で暮らすっていうのは、そこで特別な何かを得られなくても、何かに生きることがあるはずなんですよね。 

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海外で通った道の風景からデザインが生まれるかもしれないし、外国人と喋った話から新しい企画が生まれるかもしれないし、日本の風土とは違う強烈な刺激から、たくさん得られることがあると思うんです。たくさんの経験をして、自分の人生に生かしてほしいって思いますね。 

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本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました! 

多様な人に対応するためのデザイン「ユニバーサルデザイン」「インクルーシブデザイン」の企画・制作Web、アプリケーションのデザイン聴覚障害者に特化した求人プラットフォーム「グラツナ」の運営 を行っている。

この記事を書いたライター

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​米持 和哉

千葉大学法政経学部4年生。

スポット社労士くんで3年生からインターン生として働いています。

​趣味は読書と旅行です!

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